「最初に断っておきますが、健康に良い水・体に良い水なんていうのは無いんです。水は絶対に必要なもの!ですが薬ではありません。安全な水であれば良いではないですか。」
ええぇ~っ??と、これまた驚くコメントで始まった今回の取材。お話をして下さったのは、山形大学理学部物質生命化学科物質構造化学講座 准教授(この春から、助教授という呼び方ではなくなったそうです。):天羽優子(あもうゆうこ)先生。
先生は、解り易く言うと、光を使って水を始めとする液体の研究をなさっている化学者だそうです。講座のお名前から、きっと学者然とした硬い方なのだろうと想像し、私の頬も強張りがちに電話の向こうの先生に呼びかけてみたのですが・・・意外にも、ハキハキとした少々早口の明るいお声が返ってきてホッ。「研究対象が水だけに、柔らかいものですよ~。」なんて言われて、ますますホッホッ。
ですが、そのお話の口調とは裏腹に、内容は過激。といいますか、私がこれまでに耳にしていた水に関する情報を、片っ端からバッサリバッサリ、一刀両断!
世の中には、数限りないほどの体に良いとされるミネラルウォーターや、浄水器、活水器、製水器の類がありますが、化学的に実証されたものには未だお目にかかったことが無いときっぱりと仰るのです。
例えば・・・
電気分解された弱アルカリ性の水をわざわざ摂る必要は無い。そもそも、体の中で酸化反応も還元反応も常時行われている。悪玉といわれている活性酸素も悪玉菌を殺すために必要なものだから体の中で作られているのであり、多過ぎると害になるというもの。酸化という言葉にかなりの嫌悪感があるから、アルカリイオン水が健康に良いというイメージを持ちやすいだけ。物凄く極端な話をすれば、風邪をひいた時に飲んだらアルカリイオン水は風邪の菌を殺す妨げになるってことに・・・。
遠赤外線効果で活性化した水なんていうのも、ナンセンス。赤外線というのは、ある温度に達しないと効果は高まらないし、効果が期待できる環境を作ったとしても熱を発生させるだけだから、健康に良い水に変化したという根拠は何処にも無いと・・・。
では、最近良く聞く、クラスターが小さい水というのはどうか!?これまた、ありえないとはっきり仰る!クラスターというのは、分子同士がいくつか手をつないでいる固まりの事。液体である水の分子は、始終、手をつないだり離したり、クラスターの大きさが変わっている状態なので、一瞬一瞬のクラスターの大きさに拘る必然性は無い。しかも、現在、水のクラスターを測る方法は無い。つまり、クラスターが小さい水であることを証明する手立てが無い・・・。
それに、浸透性の高い水が体に良いというのも疑問。もしもそんな水があるならば、細胞の調和が保てなくなって、確実に体には負担になるはずですよねとも・・・。
この様に、天羽先生の解説は、次から次へと続きました!
んん~っ!!体に良い水であるかどうか確認の方法が無いなら、では、我々はどのように安全な水を求めたら良いのでしょうか?
これまた天羽先生はきっぱり!「日本の水道水は安全ですよ。」
でも~、塩素は体に良くないのではないですか?という私の質問には、「勿論リスクがゼロとは言わないけど、塩素は、感染症を防ぐために菌の殺菌などに必要。濃度からいくと、塩素の害よりも、家族が吸う一本のタバコを止めさせることの方が大事なのでは?」
・・・・た・確かに・・・。でも、やっぱり、水道の水は美味しくないです。と訴えると、良い方法を伝授してくださいました。
塩素の臭いを取るなら、数千円で市販されている活性炭を使った浄水器で十分。ただし、半年に一回くらい、こまめにカートリッジを替えること。
または、レモン一片を浮かべると、レモンの成分が次亜塩素酸を消してくれるから臭いの問題は解決。
味なら、好きなミネラルを添加すれば変えられます。自分のお好みの味をご自分の予算に応じて加えれば良いのです。
世の中には、病気で苦しんでいる方の弱みに付け込んで、体に良いと称してやたら高価な浄水器を売りつける業者もあります。本当に良いものなのかそうでないのか、飛びつく前に一年待って様子を見てみませんか?と仰る天羽先生の最後の一言が、とても印象的でした。