欧米に比べて日本人は、乳癌の罹患率・死亡率が低いと考えられていました。ところが、未だ欧米ほどではないとはいえ、今や年間4~5万人の日本人が乳癌に罹患、1万人以上が死亡すると聞けば、誰しも驚いてしまうでしょう。 日本人の乳癌が、確かに増えているのです。
もっと、分りやすく・・・1990年、つまり20年前の乳癌の罹患者数が丁度今の半分!たった20年で、倍になったのだそうです。右肩上がりのグラフを想像してみてください。危険信号が灯っているような気がしてきませんか?
乳癌画像診断の第一人者:戸崎光宏 放射線科医師(亀田メディカルセンター乳腺科 部長 ・八重洲クリニック 乳腺外来 顧問)に取材させていただいてから、随分経ってしまいましたが、伺った内容は衝撃的でした。遅ればせながら、記していきたいと思います。
これまで、遺伝性乳癌は日本には無いと考えられていました。
しかし、ここ3年ほどで常識が変わったと、戸崎先生は仰います。
日本人にも、遺伝性乳癌は欧米人と同じくらい存在する!!乳癌患者の1割が、遺伝的体質を持っているとわかってきたそうです。・・・だとすると、家族・血縁者に乳癌患者がいる人の10人に1人は、乳癌になる可能性がある!ということですよね!?
一方、日本人の乳癌には、欧米人のそれとは違う特徴もあるのだそうです。
欧米では、年配の方々にピークが見られるのに、日本人は40代50代にピークが見られる!つまり、まだまだ若く活動的な内に、乳癌に罹かってしまうケースが多いのだとか。
これには、日本人の乳腺は密度が濃いくて乳房が小さい・・・要するに、乳腺が密集していることに因果関係があるのかもしれないと考えられているそうですが、はっきりとした原因が解っているわけではないのだそうです。
さて、乳癌検診を定期的に受けている方も、多いことでしょう。
欧米では、30年も前からスタートしていたマンモグラフィー(X線画像診断)が日本に導入されたのは、10年前だそうです。
それまで主流だったエコー(超音波画像診断)よりも、マンモグラフィーの方が良いと思われがちですが、実のところ、日本人の特徴である乳腺の密度が高いということから、マンモグラフィーは向かない人が多いというのも現実なのです。ただし、エコーの場合は、技術者の判断した画像だけを残すため、技量がより問われるということになります。
又、驚いたことに、40歳未満の若い人への有効な画像診断は、未だ確立されていないのだそうです。
何処で、どのような検査を受けるのかを、自分でしっかりと選択していく必要がありますね!!
遺伝性などを考慮して、完璧に検診したい方も中にはいらっしゃるでしょう。実は、MRI(磁気共鳴画像診断)ですと、乳管の中に癌が留まっている状態の非浸潤癌の検出率は92%なのだそうです!マンモグラフィで56%だといいますから、MRI検査を受ければ、早期発見早期治療が可能になってきます。
ただし、高価な検査になりますので、定期検診には向きませんね。
又、今、日本のMRIの現場は、正しく撮れているかどうかさえ疑問・正しく判定されるかは、更に疑問!診断機器も、年数を追うごとに性能が良くなるが、どの病院に何があるのか情報不足!なのだそうです。
何処で、どんな検査を、どんな機器で、誰に受けるか、そして誰に診断してもらうのか・・・・・運・不運が健康を左右するのかもしれません。それが、今の日本の乳癌画像診断の現状のようです。
でも、明かりは見えてきています♪
戸崎光宏先生は、お仲間と乳癌画像診断ネットワークをNPO法人として立ち上げ、診断能力を備えた医師の育成、一般への情報公開などを行っていく準備を進めていると仰っていました。
是非是非、一日も早く明るく照らしていただけるよう、心から応援させていただきます♪♪とお声掛けをして、ラジオの収録を終わらせていただきました。
先生、本当によろしくお願い致しますねっ!!
それから、最後に、「乳がんは唯一、自分で見つけられる癌。1ヶ月に1度は、自己検診を!」と、戸崎先生が仰っていました!!
亀田メディカルセンター 乳腺科
http://www.kameda.com/medi_services/information.php?d=26&i=6