東京の北千住の商店街で一際活気を見せる杉本青果店の杉本晃章さんは、八百屋一筋44年、八百屋のカリスマと言われるおやじさんです。なんせ(財)食品流通構造改善促進機構(長っ!ふぅ~っ。農林水産省の管轄です。)からおくられた「匠」の称号を持つ人ですから、正真正銘のカリスマなのです。

それにしても、生鮮食料品店の全国コンクールなんてあるんですね!?
他店とは違う取り組みをしている小売店を、20人ほどの審査員が全国を調査して回るのだそうです。実際に、杉本青果店さんには、3回ほど、経営の専門家やディスプレーの専門家などの来店チェックがあったそうです。

それはともかく、杉本さんが野菜を語り始めると、それはもう愛情の深さがヒシヒシと伝わってきます。
「新鮮で美味しいよ!とだけなら、誰にでも言える。でも、新鮮なだけで野菜が美味しい訳ではないんだよ。例えば、きゅうりには何百という品種があるんだ。しかも、きゅうりの旬は~なんて、一言では言えない。産地によって、盛りの時期は違うからね。旬が動くんだよ!これを産地リレーと言うんだ。だから、細かい産地表示が必要なんだね。

新鮮でも、盛りを過ぎた産地の野菜は固くて味も落ちてくよ。大型店のセール品が産地リレーの終わった採りたてきゅうりだったら、新鮮だけど美味しくは無いよね。
だから、八百屋は、どうして美味しいのかが説明できなくては駄目なんだ!」

「要するに、大量仕入れによる低価格で販売する大型店舗には価格では敵わない。でも、1割高いけど、3割美味しければ、お客さんは買ってくれるんだ。どれだけ愛情を持って熱く伝えていくか・・・・お客さんは、納得して食べると、更に美味しく感じてくれるんだ!」・・・この考えが、杉本さんの活動の源です。

この情熱を、若い世代を育てることにも注いでいらっしゃいます。2代目3代目の八百屋の跡継ぎを、お客さんに説明できる人材に育成しようと、八百屋塾なる研修講座も開いています。
実際に仲間と関東近郊の農家さんを巡って、珍しいその地ならではの品種を探したり、美味しい味を求める活動も怠りません。

そんな杉本晃章さんの野菜への想いがギュッと詰まった本が出ています。
「あなたは本当に美味しい野菜を食べていますか?」(竹書房)
野菜をどう選ぶか、どう調理するか、いつ買うか、何処で買うか・・・匠ならではのアドバイスが満載の本です。こんな野菜の本を学校の家庭科で使えば良いのに・・・と心から思ってしまいます。

そして、何より、こんな八百屋さんが近くにあったら、どんなに助かるでしょう!?
野菜を愛する熱いおやじさんがいる対面販売の八百屋さんが近くにない方は、先ず、この本を読んでみてください。今日から、きっと、野菜を選ぶ目が変わりますよ!

杉本青果店のHP
http://www.sugimototeruaki.com/


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