さて、先月行なわれた金城学院大学「脂質栄養」オープン・リサーチ・センターと日本脂質栄養学会主催のプレスセミナー「コレステロール低下医療と脂質栄養の方向転換」に参加しての報告取材記第2弾は、富山大学和漢医薬学総合研究所教授であり、日本脂質栄養学会理事長:浜崎智仁先生に伺ったお話です。
浜崎先生は、「コレステロールを低下させる必要はありません。」と、はっきり仰っています。

コレステロール値が高いと動脈硬化性疾患のリスクが高いと言われていました。日本動脈硬化学会は、2007年に、動脈硬化性疾患予防ガイドラインを作成しています。
これによると、これまでの「高脂血症」が「脂質異常」という表現に変わり、脂質異常の診断基準としてLDLコレステロール140mg/dLが上限とされています。(それまでの総コレステロール値は、診断基準から外されました。LDLコレステロール140mg/dLというのは、総コレステロール値で220に相当するそうです。)

ところが、このガイドライン作成当時、日本のLDLコレステロールの疫学調査は東海大学医学部の大櫛陽一教授(後日、取材記を掲載します。)の物しかなかった!そのデータによると、悪玉だと言われているLDLコレステロールは実は善玉であり、むしろコレステロール値の高い方が人は死なない・・・・。
その後の他のデータを合わせても、総コレステロール値が240~260mg/dLという高い範囲の人々の総死亡率が一番低下しているという事実が明らかになっているのだそうです。
だとすると、LDLコレステロール140mg/dL(総コレステロール値だと220)が上限というのは、オカシイ!!この基準に照らすと、必要の無い食事療法、やがては治療・投薬が行なわれることになりますから。

このガイドラインの根拠となる疫学調査の中に、冠動脈疾患死亡の相対危険度は血清総コレステロール値が高いほど上がるとするものがあるそうです。が、その危険範囲の数値を見ると実際の死亡者数が、男女それぞれ一桁の数字!!(えぇっ!?一桁??そんな貧弱なデータもありなんですか?)
この他、このガイドラインには、問題点が多々潜んでいると、浜崎先生は仰るのです。
つまり、間違ったガイドラインに沿って、コレステロール値を下げる必要は決して無い!ましてや、日本人は、特にコレステロールが高すぎる場合のリスクが少ないということなのです。

こうした誤った解釈の背景には、それまで、500人に1人の割合でいらっしゃる家族性高コレステロール血症という遺伝性疾患の患者さん(心筋梗塞を起こしやすい)を中心とするデータしか無かったという問題があるそうです。つまり、残り500分の499人用のデータが無かったから・・・。

この家族性高コレステロール血症の患者さんについては、コレステロール低下薬が必要です。それについては、次回、報告いたします。


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