「食政策センタービジョン21」主宰人、NPO法人「日本有機農業研究会」理事でいらっしゃる安田節子さんにお話を伺うのは、今回で2度目です。遺伝子組み換え食品について伺った前回の取材のことを良く覚えて下さっていて、今回も快く番組の出演に応じて下さいました。本当にありがたいことですっ!

さてさて、私も無関心でいられなかったクローン家畜の問題。背筋にヒヤリと冷たいものを感じながら、お話を伺いました。みなさんも覚悟して、この取材記を読んで下さいね。

現在開発されているクローン技術は、2種類あります。そのうち、早くから開発されていたのが受精卵クローンと言われるもの。これは、受精卵が細胞分裂を始め、例えば32個の細胞になった時に、一つずつに割球します。更に、32個の未受精卵の遺伝子を取り除いて割球を挿入し、その上、32頭の代理母牛の子宮を借りて目的の牛を生ませる・・・これが受精卵クローンなのです。
驚いたことに、本当に驚いたことに、これら受精卵クローン牛は、1993年から食肉として、牛乳は1995年から市場に出回っています。ご存知でしたか???全体から見ると僅かだとはいえ、あなたも私も、既に知らずして受精卵クローン牛を食べているかもしれないのです!!
農林水産省は、表示は任意としています。もしも表示するなら、受精卵クローン牛Cビーフと表示しましょう。なんて呑気なことを言っているのですが・・・売れなくなる危険を押してまで表示してくれる業者はいませんよね?

一方、新しい方の技術で生まれるのが、体細胞クローン牛です。複製を作りたい優良な牛の乳腺細胞を、核を取り除いた卵子に核移植して初期化すると、受精卵のような(受精していないのに・・・)細胞が出来るので、これを代理母牛の子宮で育てるというのが、体細胞クローン牛です。・・・ということは、牝牛のクローンを作る時には、牡牛はいらない訳ですね??(ちょっと、私には心情的に気持ち悪い・・・。)
この体細胞クローン牛は、今のところ食用とすることが認められていません。今のところは!です。といいますのも、今年の1月に、アメリカでは認可されたのです。それを受けて、厚生労働省は食品安全委員会に改めて安全性の調査・審議を依頼したのです。今後の輸入を視野に入れて・・・・というのは、穿った見方なのでしょうか!?

きっと、認可の方向に進むと思われます。受精卵クローン牛だけではなく、体細胞クローン牛も食肉として、乳製品として市場に出てくるに違いありません。

安田さんは、こうも仰います。彼らの目的は、クローン技術の開発にあるのです。クローン牛が無事に誕生するまでが大切なのであり、その後は興味の対象ではなくなる上に、物凄い維持費がかかる・・・。つまり、生まれてしまったら、実験動物ではなく、経済動物になってしまうということなのでしょうか・・・高く売れるのであれば売ってしまおうと・・・。

でも、安全性の確認が十分であるようには思えません。血液成分が同じだから、栄養成分が同じだから、アレルギーに関しても一般のお肉と変わらないから安全であるというのですが、クローン牛の死亡率が異常に高いことや、老化が早い、内臓疾患が多いということなど、追究されるべき課題が山積みなのに、安全宣言が出されようとしているのです。

安田さんは、これからの見通しも含めて、警鐘を鳴らして下さっています。クローン技術の開発には、遺伝子組み換えを含んだ、まだまだ底知れない目的が見え隠れしているのだそうです。
如何ですか?皆さんは、こうしたクローン牛を食べたいですか?私は、やっぱり食べたくはありません。ですから、せめて表示を義務化することを望みます。だって、どう考えても、何だか気持ち悪いんですもの・・・・。


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